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「チューンナップ」とは、現在の状態に手を加えて、より優れた状態にすること。破損している場合に修復して「元に戻す」ことは「リペアー」(REPAIR)または「フィックス」(FIX)と言います。
一般的に言われる「チューンナップ」は、滑走面やエッヂを研磨すること。この「研磨方法」の種類により作業コースが分かれている場合がほとんどです。
滑走面は「ポリエチレン」で作られています。ポリエチレンは加工が容易な材料で、また金属に比べて、寒冷地下での冷却率が少ない(雪が凍って貼りつかない)ことや、柔軟性があることからスキーやスノーボードの滑走面に適した素材と言えます。
一般的には型に流し込んで型取り(成形)されるポリエチレンですが、滑走面での使用では「ワックス」を潤滑剤として用いることを考えて、粉末にしたポリエチレンを熱圧着し、高密度のポリエチレンにされ、それを「かつら剥き」(トイレットペーパーのように)にしたものもあり、ワックスの浸透や定着に適した状態にして使用しています。
まず製造時の滑走面は「かつら剥き」(シンタード製法)もしくは成形(エクストルーデッド製法)された薄い板状のポリエチレンで、前者は切れない刃物で削がれたようなザラザラな表面状態で、後者はツルツルの表面状態をしています。ザラザラでも、ツルツルでも滑りません。ツルツルは滑りそうですが、雪の水分によって吸い付いてしまいます。これを研磨して、雪の上を滑走するのに適したコンディションへと近づけます。
この研磨の際に意図的に滑走面に溝を彫ることがあります。この溝を「ストラクチャー」と呼びます。作業そのものは「紙ヤスリ」で研磨するか「砥石」で研磨するか?の違いでしかありませんが、砥石にあらかじめ溝を掘っておくことで、滑走面に溝を彫ることが出来るのが砥石研磨(ストーングラインド)の特徴です。一般的にはストラクチャーは流水性に優れ(溝が水を流すため)ていると言われています。
ストラクチャーは「溝」ですから、様々なパターン(模様)を作ることも可能です。溝の「深さ」や「長さ」、「溝と溝の隙間の広さ」、滑走面全体を見たときの溝が作る「模様」など。ただし回転しながら彫っているので模様に限界はあります。
よく「ストラクチャーは必要ですか?」という質問をされます。こういう質問をされる方は、ある程度の知識があり、スピードも求められている方だと思いますが、何をもって「ストラクチャー」という認識をされるか?の判断が難しく答えに詰まります。ワックス選びと同じようにストラクチャーも選ぶものです。例えばF1のタイヤで「スリックタイヤ」(溝の無いタイヤ。現在は使用不可ですが)と「レインタイヤ」(溝を彫られたタイヤ)があります。どちらが速いですか?と聞かれても困りますね。状況に応じて選ぶものです。
またタイヤは転がることで水を溝で流しますが、滑走面は引き摺られています。この場合に参考になる似た物はヨットレースの最高峰であるアメリカズ・カップ。実際に船体の底を見てきましたが表面に溝はありませんでした。溝があるほうが水が流れやすいのに?これは水の量にも関係します。
溝はスピードを生むこともあれば抵抗になることもあります。私はワールドカップでフランスチームのサービスマンを行っていますが、選手によって滑走面の状態も様々です。深く溝が彫られた滑走面の人もいれば、スベスベな状態で溝がまったく無い(目視できない)人もいます。しかし結果として、どの滑走面も速くすることができます。その状況で「こっちのほうが速いな」という差はありますが、どちらも予選を通過して世界のトップ32人(男子)に入る速度ですから、一般的には「どっちでも速い」というレベルでしょう。溝があれば摩擦が変わる。摩擦が変わればワクシングが変わる。それだけのことです。
エッヂの研磨では「角度」の話がよく出ます。滑走面の延長線上になる面を「ベース」、サイドウォール(側面)側を「サイド」と呼びます。ベースの角度は、エッヂの反応速度を変え、サイドの角度はエッヂグリップの強さを変えます。エッヂの角度は操作性に大きく影響します。
エッヂのラインを単純に「ベース何度」「サイド何度」と決める場合、ボードの構造やアウトラインは考慮しない研磨になります。もちろん、その方法が作業としては最も容易な方法です。しかし、中身の構造や使用している素材によって、スタンス位置からのエッヂへの加重バランスは異なりますし、雪面からの振動の伝わり方も異なります。アウトラインでは、この構造特性から更に、サイドカーブとウエスト幅が乗り手の足のサイズやスタンス角度、ブーツやバインディングの剛性にどのように影響を及ぼすか?を考える必要があります。それが結果的に「扱いやすい」とされるエッヂのラインにしなければ、チューンナップと一口で言っても「サビを落とす」程度の作業と大した差にはなりません。
また、エッヂは金属ですから、ポリエチレンよりも大きな摩擦を生みます。幅が細いのでエッヂの摩擦は体感しづらい程度ではありますが、この「面」の仕上げ方によっても「スピード」と「操作性」は変わってきます。更に詳しくは<エッヂ>のコーナーをご覧ください。
QUESTのチューンナップでは、「カスタムチューン」という表現をしていますが、「乗り手にとっての理想的なボード」となるためのチューンナップを行っています。滑走面もエッヂも簡単に言えば「研磨」しているだけです。その研磨方法を「結果」を変えるために、一人ひとり、一本一本によって変えています。
より快適で楽しいスノーボーディングを求められる方は、ぜひ QUEST TUNE をお試しください。
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