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雪の摩擦を軽減し、優れた滑走性を生み出すのがワックスです。ワックスの主原料はパラフィンと呼ばれるロウソクの原料と同じものです。
パラフィンは一定の条件を満たす「総称」として使われる「パラフィン」と、その中でも分子構造から「パラフィン」と呼ばれるものがあり、はじめて「パラフィン」を調べようと思うと混乱することがあります。
パラフィン(ロウ)の歴史は古く、木製のソリを使っていた時代から、木が水を吸って腐るのを防ぐ役割や雪の抵抗を軽減するために用いられてきました。
より優れた滑走性能を「ワックス」に求めるようになり、今となっては珍しい物でない「フッ素含有ワックス」も、20年程度の歴史しかありません。フッ素は、パラフィンよりも撥水性に優れた材料です。
よく「ベースワックス」「滑走ワックス」という表現をされますが、この定義も明確にはありません。滑走面素材であるポリエチレンにはパラフィンは馴染みやすく、フッ素含有ワックスは馴染み難いことから、フッ素含有ワックスを使用する際には、前もってパラフィンワックスを塗っておく必要があるために、パラフィンワックスを「ベースワックス」という表現にすることが多いです。
ワックスで「下地を作る」という表現があります。これは前述したように、定着しづらいフッ素含有ワックスを定着させやすくするために、パラフィンワックスを塗っておくことを指します。下地作りでは「何回塗る?」とか「滑走面により多くのパラフィンを浸透させる」という声を聞きますが、下地作りで重要なことは「コンディショニング」です。「浸透」と言っても、極々表面での浸透であって、「量」で言うと微々たるものです。しかし、表面コンディションを整えるためには研磨が必要であり、研磨した状態を整えるためにはワックス(パラフィン)が必要です。「何回も塗る」は、ワックスだけでなく、スクレイピングや特にブラッシングによってコンディショニングされます。滑走ワックスを塗る前の状態が、いかに抵抗が少なく、また滑走ワックスが仕事がしやすい状態になっているか?が大切です。
ワックスには添加剤として「フッ素」や「グラファイト」などがあります。パラフィンそのものでも「硬さ」や「粘度」などの特性がありますが、さらにフッ素を含有させればフッ素の特性を併せ持つことになります。フッ素の最大の特性は「撥水」です。非常に優れた撥水性能を持っています。しかし、撥水するだけでは、その場から「水分が無くなる」わけではなく、浮いた水分を滑走面の外まで運び出す必要があります。フッ素は高価な材料ですから、含有率に応じてワックスの販売価格も上がります。では、フッ素の含有率が高いほど滑走性能が上がるのか?と言えば、それは違います。
少しややこしい話になりますが、「パラフィンにフッ素を混ぜる」というのは、水の入ったコップに塩を入れるように単純なものではありません。フッ素はパラフィンより質量が重いので、そのまま混ぜれば沈殿してしまいますし、均一には混ざりません。そのために「その他」の材料を使うことになり、それらの特性も滑走に影響を及ぼします。
グラファイトは滑走面素材がポリエチレンという絶縁(電気を通さない)素材であるために静電気が発生して汚れを付着させるのを軽減させるために使われた添加物です。これもまた含有率が高いほど滑走性能が良くなるか?と言えば、そうではありません。滑走面そのものグラファイトを含有させてある「グラファイト・ソール」と呼ばれるものもありますが、これも含有率何%以上のものという定義はありません。
私のワクシング方法で「特殊」と言われるのは、アイロンを使ったホットワクシングではパラフィンしか使用しません。つまり「ベースワックス」しかアイロンで塗らない、ということです。この方法はワールドカップでも私しか行っていない方法です。
優れたベースは充分な滑走性能を持ち、フリーランレベルであれば問題なく使用できます。逆にスピード競技において前日にワックスを選んでアイロンで塗っておく、ということは前日の段階で「雪を見極める」ということです。数分で変化する雪のコンディションや山の天気。適応幅を広げることは、それだけ爆発的なスピードは望めなくなる。そのためにトップワックスは、すべて山の上で選択し、ワクシングしています。
ワックスは固形だけでなく、ペースト状や液体などがあります。ペーストは固形をベースにして溶解したものに溶剤を混ぜて凝固した際に半練状にする方法で製造し、液体は液体ポリエチレンなどの溶剤に添加物を混ぜたものなどが多いです。ペーストにはペーストの、液体には液体のメリットがあり、持続性を求めてホットワクシングを行う人も、併用して使用すると便利な状況が多々あります。
あらゆるトップワックスに対応し、充分な滑走性を持ち、優れた作業性と、環境にも配慮して作ったオリジナルのワックスが「カシワックス」です。ワックスに悩んでいる方、これから揃えたい方、もちろん競技に参加されている方も、ぜひお試しください。
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